情報誌IMAJU vol.27

アフリカ・ケニア-社会・スラムの子どもたち

菊本照子

劇団態変の初めての海外公演が92年でケニアだった。招聘してくれた現地の団体との交流によって、私たちは、過酷と思える生活環境で生きる子どもたちを目の当たりにした。そんな中で知り合ったのが菊本照子さんである。彼女がケニアの首都ナイロビで孤児院を運営されて16年、地域に根をはった活動が有機野菜の栽培にまで発展、運営基盤も着実なものにしている。
ケニアの人たちの現状から、今の私たち日本人が気づかなくてはならないことが少なくない、菊本さんの一時帰国に合わせメタモルホールでスライド上映会とお話をうかがった。

野党連合が政権をとる

 向こうの貧困というのは私たちが日本で知っている貧困とは少し違う。絶対的貧困。ケニアの人口は3000万人のうち55%が貧困ライン以下。ラインというのは1人に付き1日1ドル以下で暮らさなければならない。パン1斤、牛乳くらいしか買えない。それでも子どもをもっているお母さんは養わなければならない。ないない尽くし。電気がない。水道ない。トイレない。学校に子どもを行かせられない。
 三食たべられない。そのような絶対貧困の中に暮らしている。ケニアは世界で下から22番めの貧困国で、その中で一番貧富の差が大きいことが悲惨。(丸いケーキを8等分した図を示して)このケーキを大きい小さいはあっても、8人の人が1切れずつ食べる。これが日本だとすると、ケニアでは1切れを7人で分けて、後の残りを1人が独占してしまうような状況。その7切れを1人で食べていたのがモイ大統領の一族でした。

 野党連合ができて、この間の選挙でモイの後継候補を破って与党になった。行き渡っていた不正を正そうという動きがある。私が一番うれしかったことは、小学校が義務教育にされたこと。昔から国の基礎は教育の機会均等だと思っていた。どこで人材が生まれるかもわからないのに今まではチャンスがなかったけれども、今は教育の無償化がされて、ただで学校に行けるようになった。小学校は8年制。ケニアが独立して40年にして初めて国づくりの第1歩を踏み出した。ケニアは今からアフリカ53ヶ国のよいサンプルになるかも知れない。もしかしたら、日本を追い越すかも知れない。民衆の勢いではいいものを持っている。ただの貧困だけではないところをみてほしい。

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