態変が2023年度(令和5年度)大阪文化祭賞を受賞

大阪文化祭賞授賞式

大阪文化祭賞とは

大阪市、大阪府、公益財団法人関西・大阪21世紀協会の共催で、芸術文化活動の奨励と普及を図り、大阪の文化振興の機運を醸成することを目的に、大阪府内で上演された公演の中から優れた成果をあげたものに対して「大阪文化祭賞」を贈呈するもので、今回が60回目となる。

令和5年度「大阪文化祭賞」は、令和5年1月1日から令和5年12月31日までに大阪府内で開催された公演を対象に、独創性や企画・内容・技法が総合的に優れているか等を審査し各賞を決定した。


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態変の受賞理由

「私たちはアフリカからやってきた」の舞台の成果(第2部門:現代演劇・大衆芸能)

身体障がい者で構成されるパフォーマンスグループ「態変」の、結成40周年の節目の公演。集団としての大きな自信につながった1992年のケニア公演をふまえ、初めて「アフリカ」をテーマに掲げた。芸術監督の金滿里が、ヒトのDNAの一部の「共通祖先」とされるアフリカの女性「ミトコンドリア・イヴ」として闇の中に浮かび上がるシーンで開幕。ユニタード姿の8人のパフォーマーたちが、人類の祖先が時空を超えて世界に広がっていく旅「グレート・ジャーニー」や、サバンナで平和に暮らす人々を捕まえる奴隷商人との激しい戦いを次々に描き出す。大陸の鼓動を思わせる内橋和久の音楽も印象的で、スケール感ある舞台は、今なお生命の収奪が続くこの世界に対する鋭い問いかけともなっていた。障がい者の「障がい」そのものを表現力に転じ、未踏の美を生み出す態変は、大阪の表現者集団として、国内のみならず海外にも大きな影響を与えてきた。その粘り強い歩みを改めて称えたい。

【略歴】

身体障がい者の身体表現を展開する芸術集団として金滿里が昭和58(1983)年に創立。
身障者の「歪んだ」とされる身体、「ぶざま」とされる動きを未踏の領域の美に転じ既存の美意識・価値観・人間観を覆す挑戦を続けてきた。かかる活動を、運営も芸術的監修も身障者自身の手で行なう集団は把握する限り世界初で未だ他に類を見ない。
平成4(1992)年ケニア三都市公演を皮切りに欧州・アジアでの公演を重ね、現地障がい者を募った共同公演プロジェクトをマレーシアと韓国で実現している。
国際舞台芸術ミーティング(TPAM)2020で公演と金滿里が基調講演を担当し、国際舞台芸術ミーティング in 横浜(YPAM)2021では「さ迷える愛・序破急」三部作一挙上演が世界配信された。
平成28(2016)年度社会デザイン賞優秀賞受賞。
令和3(2021)年大阪市市民表彰文化功労部門受賞(主宰の金が態変の活動にて)。
平成29(2017)年「劇団態変の世界 ー身障者の 「からだ」 だからこそ」(論創社) を上梓。