開会の挨拶(要旨)

劇団態変・芸術監督 金満里

 

 なぜ劇団態変が反戦企画をするんや?と思っておられる人も多いかと思います。でも本当は非常に関係があるんです。

 私たちは障害者が身体表現をするということを命懸けでやってきました。そしてその芸術性が評価され、海外公演もしています。ドイツのベルリンでやったときに、健常者のダンサーから「態変をみて自分の表現の問い直しをせまられた」というような感想ももらいました。要するに、何を美しいと感じるか、何を醜いと感じるか、それぞれの基準が問い直されるということだと思います。

 ドイツというのは、第二次世界大戦のときに、ナチスがユダヤ人だけでなく障害者をガス室で虐殺したという経験を持つところです。そこで態変が公演し、反響があったことの意味は大きい。戦争が起きれば、真っ先に切り捨てられるのは障害者です。今の日本もすごい優生思想がはびこってきています。戦争が起きれば、今まで私たちが積み上げてきたことも一度につぶされてしまうでしょう。

 だけど私は命乞いはしない。芸術家である私は表現によって今の空気の中で感じていることを伝えていきたい。「態変ポリシー」に、“生きる糧となる芸術”をその一つに上げています。本当に世の中が大変な状況となったときに必要とされるものとして、自分の内にも外にも両方へ向うものとして、その芸術の力が問われるし、そういうときにこそ命乞いではない真の芸術の生きる力となる意味が問われる、と思っています。

 そういう思いからいろんな人に呼びかけて今日の会を持ちました。

 

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