チラシ掲載文

 何を待つ
 待ちわびて
 近くて遠い、何ものかを、恐れるような、憧れるような
 お遊びの、緊迫の、空間で

 何も来ない
 劇的なものも、楽しいものも、死も生も
 一切の、来るはずのものの不在を

 静かに
 平行線が、続くだけか、降下するのか、上昇はあり得ないのか
 ここは、何をかを待つだけの場所なのか…… 


たとえば、ひたひたと迫り来る優生思想だ。
まぎれもなく殺される側にいるわたしに危機感は日増しに酷くなる。ふとみわたすと、不条理劇の代名詞といわれるこの劇になんとぴったりの世界が取り囲んでいることか。
その折も折、旗揚げからの古参役者である福森慶之介が重病に侵され、いつ身体が動かなくなるかとの不条理な宣告。
だが、座して待つでなく、たんたんと今日の一日を生きる=演じるという役者魂。
不条理の現実を、生きて、生きて、生きる。時代に込めたメッセージとして。

金満里  

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