金満里の手の指先はまるで生まれたての胎児のように、初々しく未知なる空間に突き出される。私たちは自分に立ちかえって、生きる中で失くしたもの、落としていった自分、に出逢ったのです。指先は魂の中心から差し出され、放射され、美しく輝きました。
金満里の魂はつねに生成し高揚して、美を創造し、何よりも現在の世界のあらゆる苦悩、悲しみをその背後から感じさせ、全体感が暖かい包容力となって、観客と一体となっていました。
土方巽の言葉、「技術は精神の両方を含有している」
金満里の舞台に重ねて納得いたしました。