ファン・ウンド潜伏記

作品あらすじ


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プロローグ

ウンドを育てた故郷、固城の山・大気・川・海を象徴する群舞。郷土の自然に民が、自らの日々を色とりどりに織り込み、自主・独立の狼煙の旗を挙げる。

(写真:2011.3 固城公演)

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野に遊ぶ童~離散する子供

ウンドの幼年時代。野に遊び戯れる子供達。そんな牧歌的な村のに忍び寄る侵略者の影。父親が連行され家族は離散し子は浮浪児となりさまよう。

(写真:2011.3 固城公演)

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村興し~ウンド社会教育と運動

村興しを託されたウンドは、農業学校の養蚕科で勉学を積み、帰郷して蚕業伝習所を建設し、また農民夜学会を設立して字を教える。
しかし、村の更なる発展のためには植民地支配からの独立が必要と考え到ったウンドは、民族の自主・独立をうたう「一心会」を結成、独立宣言文を発表。一度目の逮捕、拘留。  (写真:2011.1 精華公演)

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運命の出会い

歌舞の名手・金紅珠を固城に招いて歌舞楽曲伝習所を作ろうとする動きが有識人から起こる。記者をしていたウンドは、反対の論陣の先頭に立つ。
しかし金紅珠を一目見てウンドは恋をしてしまう。二人は歌舞楽曲伝習所の近くで新婚生活を送ることに。
(写真:2011.1 精華公演)

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新幹会固城支会設立~悲しみの葬送

日本による朝鮮統治はいっそう過酷となり一心会は解散させられたが、その意志は新幹会固城支会創立に引き継がれる。
日本人生徒たちによる李少年撲殺事件(1928年固城で実際にあった事件)に対して、ウンドたち新幹会が前面に出て、民衆の悔しい心を組織した葬儀へと。
葬送の列が市街を一周する中、どこからともなく静かに抗議の列に加わる一般市民、やがてその列は数百名にまで達した。  (写真:2011.3 固城公演)

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マダンで開く大イベント

ウンドと新幹会のメンバーはこの事件をきっかけに日本の植民地支配に対して無力感漂う現状の打破を狙い、当代きっての人気を博していた崔承喜を招き歌舞公演を催す。 何かが燃えるような活気みなぎる公演の最後にウンドは独立のビラを会場に散布する。
(写真:2011.3 固城公演)

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逮捕~逃がす民

その夜、固城の丘で朝鮮総督府に逮捕されるウンド。多くの仲間たちが政治犯として処刑される。
今後朝鮮に留まる危険性を危惧する周囲の人々によって、ホンジュとともに日本に逃亡することに。
(写真:2011.1 精華公演)

大都会に漂流~劇団旗揚げ

見知らぬ土地で新たな生活を始めるウンドとホンジュ。ウンドはホンジュを看板とする劇団を立ち上げ、朝鮮芸能を日本各地で巡業する。
当時在日僑胞に渇望されていた韓国文化は各地で熱狂的に受け入れられ、在日僑胞達は活気と韓民族としての尊厳を取り戻す。

(写真:2011.1 精華公演)

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日本の敗戦~解放

やがて日本の敗戦。解放の喜びをかみしめる在日朝鮮人達と、自国の敗戦により打ちひしがれる日本人。
そこにウンド率いる一座のプンムルの音が聞こえてくる。底抜けに陽気な音色に、解放の喜びも敗戦の悲しみも全て混ぜ合わせて、朝鮮人も日本人も一緒になって一時の祭りを楽しんだ。
(写真:2011.1 精華公演)

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朝鮮戦争~エピローグ

1950年、朝鮮戦争が勃発。その翌年ウンドは、在日コリアンの身のまま、静かに死する。
ウンドは死してもなお、亡霊となって、かつて自身が逮捕された故郷固城の丘から、遠く日本で生きるホンジュ達の人生を見守る。故郷固城と日本で韓国人としての精神の独立とは何かを問い続けた足跡を見守るように。
(写真:2011.3 ソウル公演)


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