金満里ソロ公演

寿ぎの宇宙



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寿ぎの宇宙 上演主旨(初演)

死者とともに遊ぶ。

生きる者として、現代に求められ、やらねばならないことがあるとしたら、生者も死者も一緒になって「この世が宇宙と確かに繋がりここに有る」ことに感謝し、祝うこと。
自らの身を、大地に捧げるようにして、祈る。
もうそれしかやりようのない、魂からの表現を、身体で現す。

多くの死者の犠牲の上に成り立つ現代の日本にあって、人類の営々と築いてきた文明は、末期的で終焉を迎えるかの様相である。そんな人類の、自然へ支配者足らんと、征服してきたかのような錯覚は、宇宙的視野からすると吹けば飛ぶような塵であろう。
小さき者を知り、文明という支配ではなく、死者が佇むことのできる自然を宇宙にまで伸ばし、死者の声を聴ける。そんな共存への先を夢想する、金滿里の宣言的ソロの新作である。

魂を身体表現することへ執拗に拘ってきた、金のソロ作品は今作品で4作目を迎えます。

本新作は、より魂の棲家をシュールに丹念に追う中で、魂が立ち現れる身体表現としての真髄を追求しようとする意欲作です。

金満里




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上演パンフレットより


夢のように
恐れも語らいも 険しさも楽しさも 一つづつ
山あり谷あり 過ぎ行く今を できることならば
全部を拾うように ズルズルと 引きずって
地の果てまで 行きたい

それらは 中心にはなく
周辺に あり
ほこりに紛れ 忘れられたものに ヒョッコリと
顔を出す

思わぬ 大切な大切な 一瞬 の
光り 輝く 刹那 群  
宇宙に 飛沫 の放射 

旅立つときは 今  

                    金満里


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東京公演パンフレット


 2013年にソロ4作目としてこの世に生まれでた 『寿ぎの宇宙』を4年の月日を経て、ようやく東京公演という形で、東日本の皆さまに迎えられるこの機会を大切に思います。

 3.11 で夥しい犠牲者を出した東日本大震災、福島原発事故の人為的愚行。その犠牲を強いている現在があります。 3.11 を受け、 生者が死者へ問いかけ、生者も死者と共にあることへと駆られるような思いで作った作品でした。
 その後昨年7月26日に起きた障碍者大虐殺事件で、 生者と死者の境い目をますます危うくさせる、 人間価値への優生思想の台頭と、原発事故の加害者免罪・被害者迫害とは、根は一つだと思います。

 祈る、ということに、 ようやく辿り着けました。
 それは、身を大地に捧げる五体投地、の祈りとしてあります。
 自己を捨て去ろうとすることで、自己の力の及ばない畏敬の念、その間に介在する必死な対峙の姿が美しい、と思う心があるからです。
 だからこそ −鶴の舞−で、 チマチョゴリと烏帽子が融合し合ってピッタリと、生者と死者が手と手を取り合って歩んで行ける、そんな未来へのまなざしを見つけたいと思います。

2017年10月7日
金滿里




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