男は旅に出た − チェ・ゲバラ
すがた現す者
EL APARECIDO


公演ちらしより

あるときは茂みに隠れ、あるときは木に跳躍し
砂地の広場で、空からの敵の機銃に、身を翻す
人とは思えぬ、神業に、
人は誰しも感嘆し、完全な人間を見る

神出鬼没に、ジャングルをかき分け闇を縫い、恐れる者の前に必ずその姿現す

真の病巣を嗅ぎ付け、泣く子が居たら、誰よりもその原因を取り払う
許せないものに向うのは、あり余る強さや勇気でない
耐えられぬほどの、心の疼きに気づくから
解決しないとならない、ものが見えるから
観察し、眺めることで、広がるから

我が身を捨てられる、無我の本当の、至福に向かって、勝利か死か

増殖し膨張する
生命は死しても、永遠に
隠れる所を知らず、いたるところに、止められず
溢れ出す、真の解決の精神

金満里


当日会場配布パンフレットより

 溺愛と憎悪というアンバランスに、自らの身が置かれるという運命に気付くことは、その不条理さに発狂を押さえるのは容易ではない。人はどこかで気付きながらも、正常をよそうために、見ない振りをして来たと私は思う。
 溺愛と憎悪という、胎内のジャングルより生まれいずる者が人間としたら、その狭間を拾うよう、人類の運命を懸け、課せられたものがあるのではなかろうか。
 情緒に流されず、科学する思考で、やわらかな未来を信ずるまなざしの大人として。

2008.9.22 金満里


【閉じる】