【閉じる】
観客配布パンフレット掲載文
運命ということを考えている。
ファン・ウンドが夭折していなければ、この世に生を受けることがなかった私、
ファン・ウンドという人物に再びこの世の光を当てるため、その私が彼の生涯を作品化する。
表と裏は、どちらが外側でどちらが内側なのか。そのどちらからでも両方が言えると思う。寧ろそれを、世に問おうとことを起こさない限り、見えなくことの本質は彼方へと押しやられてしまう。
このことを作品にするのは、逆説的なレトリックとして、運命の存在を認めるのか否定するのか、といった人類の命題に取り組むことと同じだと思う。
この世に生まれ、生まれ出た意味を見つけられずに彷徨っている感覚は、現代に生きる誰しもが多少なりとも持つ不安であり、そして宇宙の中に自らの生の意味を見出すことへのもがきが続く。
劇団態変をやる意味も、そこに在らねばならない。
『ファン・ウンド潜伏記』を世に送り出すまでの格闘の中で私は、次のような思索を続けていた・・・運命はあるのか。もしそなものがあるとしたら、それは誰が仕掛けるのか。それは、人間の力によって変えられるものであってほしいのだが、実際のところ「自ら運んでいく命」のために、人はどれだけ意志的な人間としてその生涯を送れるのか・・・
これは果てしないテーマであり、その余りの大きさに挫折しそうになりつつも、しかし向き合わざるを得ないものとして用意された、と感じる。恐る恐る、しかしそうであるからこそ、優雅な心持ちで悠々と、歩を進める思いである。
2009.9.19 金満里
【閉じる】
2011年大阪公演
観客配布パンフレット掲載文
・・・準備中・・・
【閉じる】