『心と地』延期のお知らせ



劇団態変主宰 金滿里より

 劇団態変第71回公演『心と地 -さ迷える愛 急』をこの5月に伊丹AI・HALLで予定していましたがここにやむなく延期することになりましたことをお知らせいたします。
現時点で言える情報は一番下にまとめています。

 その前に、今回のことについての表明をさせていただきます。

 新型コロナウイルスの世界的猛威に晒され、日本も例外ではないことはご承知のことと存じます。
この脅威を軽減するためには人が一箇所に多く集まることを避けねばなりません。その原則に従うことで、表現があらゆるところで中止に追い込まれていること。
今回の態変公演延期も、そうせざるをえない状況の上ではあります。
こういうときに芸術表現に何ができるのかという問いが脳裏をよぎります。

 とりわけ劇団態変は身体障害者が、その身体を補装具や車イス・杖、といった社会適応のための所謂この管理社会に参入するためにある道具をかなぐり捨て、障碍の身体そのものの有り様を隠さず提示する、そのような自由の場所として舞台を選びました。そうすれば自ずと強烈な存在の絶対肯定になり、それはこれまでの美や身体に対する固定的な価値観が吹っ飛んでしまう。そこに、新たな人間価値の創造がある、という芸術観です。

 今我々は、世界が新型コロナウイルスにおおわれ、いちどきにこれほど多くの犠牲者を出す、といった人類史上にとって未曾有な経験の真っただ中にあり、人類にとって大きな試練と岐路に立たされていることを感じています。
  それは、自分だけが生き残るのではない
  人として一番弱い人の命が尊ばれ、
  それを押し上げるようにして自分の命が輝く。
そのリアリティーをつかめるかが試されるのだと思います。

 鍵は、人の生命の本質は、
  自分よりももっと弱い命を広がりある視点で助けようとする、
  ”生き合う、ことが本質”である。
そのことの発揮にかかっています。
態変の身体表現芸術の伝えたい、命の真髄、だと考えます。
人類が進んできた方向を、本当にそれでいいのか、といった大きな問いかけをするチャンスです。

 新型コロナウイルスの脅威の前で、誰しも望んではいない猛威に晒され、早く立ち去ってくれることだけを願うばかりの、誰しもがひ弱な存在である現実。後ろ向きに、全てがあるような…、現実があるのは確かです。
ですが、本当にそうでしょうか?
ただ疫病神に取り憑かれた、哀れな現代社会を露呈している、だけで済むのでしょうか?
 一旦は休止し、全てを放り出してしまうようなやり方であっても、
この行き過ぎた加速の増す資本の思うままの、消費至上主義、を止めないといけません。
見せかけの生活保障を善意よがしにふりまく、国の政策のごまかしに、
市民はただひれ伏しひ弱にさせられているだけではいけません。
 行き過ぎた働き方、や、溢れすぎた情報、まだまだ多くの過剰の渦の中で、
既に溺れ死んで行きそうな現代社会があったのです。

 そんな中での、このコロナウイルス世界的感染爆発、があるのだということ。
ピンチはチャンスです。
 私たち態変は、表現の意味や芸術を求める魂の叫び、をその身体に宿している。
かき消されてしまう危機にきて、弱さは強さである、と、命の灯として
必要とする現代社会に、表現する舞台をやる使命を感じています。

 延期になって実はこんなに悔しくて寂しい気持ちでありながら、みんな同じ気持ちなんだと、はじめて気づく。
 見えていた人たちや見えぬ人たちと、肩を抱き合って泣きたい気持ちになったのははじめてです。

 次なる延期公演に向け、力を溜めて行きたいと思います。
 みなさんとの再会をお約束して。

劇団態変主宰 金滿里



公演延期のお知らせ

 この度の新型コロナウィルスの感染拡大に際し、会場であるアイホールとも相談の上、来場者および関係者の健康や安全面を考慮しまして、2020年5月に予定していました劇団態変『心と地』公演は延期とすることを決定しました。

 公演を楽しみにして頂いておりました皆様には、心よりお詫び申し上げますとともに、何卒ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。

 なお、延期後の日程については、以下の通りです。この事態が収束に向かい、皆様に安心してご観劇いただける日が一日も早く来ますことを願っております。

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劇団態変第71回公演・アイホール提携公演
『心と地』さ迷える愛·急


公演日: 2021年3月19日(金)~3月21日(日)
会 場: 伊丹アイホール

公演の詳細については、2020年12月頃、ホームページ等で発表予定です。

劇団態変制作部




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