生きる者として、現代に求められ、やらねばならないことがあるとしたら、生者も死者も一緒になって「この世が宇宙と確かに繋がりここに有る」ことに感謝し、祝うこと。
自らの身を、大地に捧げるようにして、祈る。
もうそれしかやりようのない、魂からの表現を、身体で現す。
多くの死者の犠牲の上に成り立つ現代の日本にあって、人類の営々と築いてきた文明は、末期的で終焉を迎えるかの様相である。そんな人類の、自然へ支配者足らんと、征服してきたかのような錯覚は、宇宙的視野からすると吹けば飛ぶような塵であろう。
小さき者を知り、文明という支配ではなく、死者が佇むことのできる自然を宇宙にまで伸ばし、死者の声を聴ける。そんな共存への先を夢想する、金滿里の宣言的ソロの新作である。
魂を身体表現することへ執拗に拘ってきた、金のソロ作品は今作品で4作目を迎えます。
本新作は、より魂の棲家をシュールに丹念に追う中で、魂が立ち現れる身体表現としての真髄を追求しようとする意欲作です。
この小さき星にあり 恐れ嘆き怒りに身を振るわせ 先に往った同胞たちよ
今は宇宙の何処に
共に歩んだこの道を 今は独り なお征くわれに
長旅のほんの途中であろう 同胞たちよ 笑い声で照らしたもう 迷わずにと
そして 幾つもの新たな出発を用意し 紐を結び直し束ね 魂を抱き星を放ち
命吹き込む寿歌を宇宙に響かせ 舞を舞うぞよ
金 滿 里