3月23日(日) 13:30公演 アフタートーク 関連情報

倉田めば

ピア・ドラッグ・カウンセラー(薬物依存回復施設 大阪ダルク施設長)
パフォーマンス・アーティスト


 初めて態変を観た時、俳優たちが身につけているレオタードが気になった。わたしもパフォーマンス・アートをやっている身だが、あんなに体の線や凹凸が露わになるモノを身につけて人前で表現をする勇気は今のところない。それを堂々とやっている態変の人たちと自分とはいったい何が違うのだろう?障害という視点から観てあらかじめ欠損しているものを、アートの回路を通して、あらかじめ備わっている個性として、パフォーマンスを展開する時に、あのレオタードはどのように有効なのだろうか。わたしはMTFトランスジェンダー(※1)なのだが、自分の身体のさらし方を振り返ると、どうしても、ジェンダー・アトリビューション(※2)によって、男女二つのラベルの内、常にどちらかを貼られるという記号性の壁の前で立ちすくんだまま、それ以上前へ進めない。自分にとっても他者にとっても、どこまでもジェンダー記号である肉体からの脱皮の可能性や方法を態変の舞台に見出したいと願いつつ、「Over the Rainbow -虹の彼方に」の公演と楽日金満里さんとのアフタートークを楽しみにしている。
※1 トランスジェンダー:
生まれ持った「性」とは違う性自認をしている個人や団体をさす一般用語。
MTF は male to female、男性から女性へ、の略称。
※2 ジェンダー・アトリビューション:
私たちが互いを性カテゴリーの一方に区分すること(=帰属させる: attribute)

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