協会長の挨拶で、「本当は各社からのアピールを予定していたところ、昨日の衆議院通過といった急展開に、今朝-出席できない-とのFaxが幾つか届き、中には匿名のFaxもあったりして、予想以上にジャーナリストの間に動揺が走っているのが解る。」というその日の実況的状況が紹介され、私はやはりこの有事の恐ろしさを改めて知る思いで少しのっけから面食らった観。

 ほっこり系の若者がアピール。次に武者小路氏による講演となる。

 これが又、アメリカの目的は北朝鮮ではなく中国だ、との言葉が飛び込んできて頭がくらくら。このように私が書くと、誤解されるかも知れないので、少し付け加えておく。

 武者小路氏の印象は一貫して、断言口調ではなく、どちらかと言えば非常に注意深くその論の意図の誤解を招かぬよう、慎重すぎる程に言葉を選んで話していかれる口調である。ディスカッションの際などでは、喜納昌吉にやり込められシュンとなっていたり、詩の朗読を自らしたりと、学者然とした断言的なところは微塵もない寧ろ謙虚な姿勢での姿勢には好感が持てた。その内容は-------------

 

「世界の平和とアジアの役割」武者小路近秀

(講演要約-川喜多)
米国の一方主義覇権体制は、世界に「悪者」の存在をつくりあげた。そして今回のイラク戦争によって、アメリカは公然と国際法を無視し、「悪者」に対する戦争はあってよいのだ、という非常に勝手な論理をまかり通す勢いである。外面的には、9.11以降、「ナラズモノ」テロリスト集団を制圧し、平和秩序回復目的と声高に叫んでいるが、ビンラディンはCIAの手先で9.11もアメリカの独り芝居ではないか、と訝しんでしまう。アメリカをひとつに団結させ、ネオコンによる世界支配をすすめるための狂言芝居ではないか、と。

 

ブッシュによって「悪の枢軸」とされた北朝鮮。これに関しても当初、「悪の枢軸」がイスラム国家ばかりだったので、あからさまな反イスラムだとの批判を避けるために北朝鮮を組み込んだ、といわれている。しかし、東アジアにおけるアメリカの本当の狙いは、北朝鮮ではなく、中国である。アメリカのタカ派のシナリオはこうである。金正日政権を崩壊させ、韓国へ併合させる。これにより、旧東西ドイツの統一時に西ドイツの経済が低迷したように、韓国の経済は低迷する。日本や中国はその補てんのため経済が伸び悩み、東アジア全体の経済力が弱まる。そこにアメリカがつけ入り、広大な中国の産業基盤と豊富な資源を支配下におさめ、一人勝ちをしよう。

 

つづく