作品紹介
本作「Over the Rainbow −虹の彼方に」は、劇団30周年の大きな区切りとして上演する新作です。 本公演としては、第60回を数えます。
本作は、荒廃した世界を舞台にしています。宇宙のゴミ捨て場のごときその地へ、異なる星からそれぞれ疎外された者たちが流れつく所から物語は始まります。彼らが荒廃した星を見た時、その目にはどのような世界が映るのか? 共通の概念を持たない相手と出会った事で、自己の身体は生きる本能に目覚めます。互いに共通の言語、思想、身体さえ持たない者たちが、争いもがき、その後、地平の彼方に何を見出し、どこへ歩を進めていくのか・・・。
また、本作では山本公成率いるジャズユニット〔山本公成(Sax,Flute)中島直樹(Bass)信藤真実(Dr.)〕が生演奏で態変のパフォーマーと共に作品を生み出します。
山本公成と劇団態変の関わりは、劇団態変の旗揚げ公演に音響機材一式を持って山本公成がかけつけた事から始まり、態変の表現の方向性を画期付けた「銀河叛乱’ 89」の音楽を山本公成が作曲を手掛けるなど、深く長きにわたって続いています。山本公成の手によるジャズの即興の音色と、そして態変のパフォーマンスが舞台上で出会った時、どのような化学反応を生み出すのかも今回の見所の一つです。
劇団態変は30周年を迎えた今年、現在の混沌とした世の中の動きの中で、また新たな地平に踏み出そうとしています。その節目にふさわしい作品として、世の中にこの新作を贈り出して参ります。
序詩
独り
廃墟に佇み 故郷の星 遠く
舞い降りた先 ここは 何処の星やら
寒風に すさみ 空を見上げる
ここから どう生き抜くのか 捨てられた我が身 術知らず
同じく点在す 異星人たち
威嚇し はじきあい 傷つけあい 殺しあう
どうせ 捨てられた 身ならば
身を寄せ合えば
同胞
共に 空を 見上げると そこには 虹の架け橋
確かに 一緒に見つけた 虹の架け橋を
消えても 心に 刻み
同胞と 力を合わせて 行けば
荒野も拓く
金滿里
共演者紹介
音楽 山本公成
ソプラノサックス、フルート、磐笛、ネイティブアメリカンフルート、リトアニアンフレーテ、民俗笛、創作倍音笛の奏者にして作曲家。
1968年のデビュー以来、即興音楽のパイオニア的存在として活躍。ジャズアーティストのみならず、雅楽、文楽、映像アーティスト、画家など、様々なジャンルのアーティストと共演している。多数の舞踏音楽をプロデュースしており、映画音楽としては井筒和幸監督「ガキ帝国」、園子温監督「部屋・The room」等を手掛ける。
演奏活動は世界各地におよび、ドイツIC 社より「EAST WARD」等4タイトル世界リリース。 自ら主催するレーベル Pulsejet Label より「Earth Breeze」「月ゆめ」など、8 タイトルのCD を発表。10年以上活動する「風の楽団」や、ソロコンサート「Tears of the Forest」など積極的に演奏活動を行っている。