表現する徹底非暴力の反戦通信26

 昨日、10月9日に亡くなった在日コリアン二世でシンガーソングライターの歌い人であった洪栄雄(ホンヨンウン)、の奥さん加奈さんから在りし日のヨンウンのビデオが届いた。12年前のライブのビデオであった。

 彼と知りあったのは、私が自立生活を始めて間なしの21・2才の頃で、彼が歌を始めた18・19才の時であったと思う。ヨンウンの享年45・6才、ということになる。

 彼は在日コリアン二世の心象風景を、言葉にならない言葉として歌にし、時には叫びながらも声にしていた。北朝鮮の民族高校を中退したヨンウンは、父親の影響もあり、かなり反骨精神と政治へのシビアな感性を、当時から持ちあわせていたと思われる。

 私は当時は、障害者差別問題一辺倒であったので、在日コリアンの意識のある人達は、在日の差別は政治からでないと紐解けないという現状認識とは常にぶつかっていた。障害者の自立生活自体がなった当時、私の立つ位置は、政治よりも人間の心の問題としての差別が第一の課題であった。そういった中で、人々の足下での日常意識としての差別意識を返り見ようとしない、政治意識には批判的であり反発さえあった頃である。

 ヨンウンは別段、政治的であったわけでなく。寧ろそんな政治意識とは少し距離感のある、それこそ日常感覚での感性として、逃れようのない自分の生まれた地点からのセンサーを肯定していたと思う。浮游した先としての根無し草的な生れた"まち"を問い、そこからの逃亡願望と根付いている土着性とを問うのも、ヨンウンの詩である。

 ヨンウンの歌「段ボールの町」の詞の中に"家族や、町のせいにして、幸せになれるかよ" "ここは、大阪。俺が生まれた町だぜ。立ち止まってみても、誰も、答えはくれないぜ" というのがある。まさしく在日コリアン二世とは、朝鮮半島と日本の政治歴史に翻弄された結果として、一世である親と生まれ育った土地に対して、選ぶことのできなかったことを恨む気持がある。そんな二世としての時代を背負っている感覚を、ヨンウンは言葉にならない言葉としての感性を歌にした、二世の感性を代表できる歌い人であったと思う。

 ヨンウンは、生野区の今里という所に住み、私の親の家と至近距離であった。私が当時やっていた「イムジン河に集う会」の在日の障害者の介護を頼んだり、運動を止めた後も私の親の家に帰ったときなど、二階が住まいのところから帰るのに、階下へ降ろすのに電話で呼んだら降ろしにだけ駆け付けて貰ったこともある。そして私が子供を産んだときも、ベビー服のお祝いを携えて産まれたばかりの里馬の顔を見に訪ねてくれた。そんな心根の優しい人である。

 そんなヨンウンとは良く、生野と言っても、猪飼野(いかいの-今はない番地前の地名)とは違い、純粋な生野の在日朝鮮人がひしめき合うど真ん中からは外れ、日本人の割合が多くなる今里、というところには又一種独特な屈折があるという話しが通じ、今里の在日コリアンの中途半端性を話題にしたものだ。

 在日は日本で住むことを相対化し問う、ということ抜きには自己が見えない。その苦悩を引き受けるのが二世の役目である、というのを早くから彼は歌でそこに向い、やりきっていたのである。昨日も聴いていて、やっぱり凄いものを創ったな、と共感するのである。

 そして、12年前の湾岸戦争の起こった年のビデオライブで、ヨンウンは「アメリカ」という歌を歌っている。

"・人を殺すためならどこへでも行く。・友達をなくす。・俺も壊す" 

聴き取りにくい中から断片的に聞こえて来るそんな言葉。まさしく今の状況ではないか。自衛隊が初の外国への軍として、イラクへ向うという昨日に、ヨンウンはもう12年前から今を言い当て真剣に強烈に発信していた。そして私の大好きな「石の闘い」という歌でも、

"ガザの町は、ソエトの町は。大阪の街は、東京の街は、重なる。一つの心と一つのからだとして、一つに重なる日が来るだろうか"

と歌う。心が痛い。まちとまちの出会いが、壊されて行く。どんな顔を持ち、違うまち同士が出会って行くのか。そんな希望は、しかしあの頃の絶望の中からでも、ヨンウンは希望としてしか発信していないのである。どんな悲惨な中からでも、希望は拾わねばならない。それが生きるということなのだと、加奈さんが送ってくれた、洪栄雄のライブビデオは私の家に届き、クリスマスイブの日に教えてくれた。感謝!  

=='03.12.25(木)

 

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表現する徹底非暴力の反戦通信27

 航空自衛隊は結局は、26日昨日の昼12時だいに出発したようです。ずっと、25日の夜遅くもテレビニュースを追い探していたのにも関わらず、何一つ触れられない異様な静けさ。まるで報道規制が引かれているかのごとく、問題にしないし、しないことでいつの間にか済ませようという雰囲気の中、昨日の夕方のニュースで昼に行ったということを知りました。

 自衛隊本体が1月半ばに行くそうですがその前の、お正月を返上してでも、東京での全国統一反対行動を呼び掛けないと駄目なのではないでしょうか。自分からは企画できないがそんな行動への呼び掛けがあれば、行きたいという人は広くいるのではないか、という気はします。 

=='03.12.27(土)

 

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表現する徹底非暴力の反戦通信28

 私が全国行動の呼び掛けで、うるさくやいのやいのと言っていました。イラク派兵までの全国行動について、日本ジャーナリスト会議憲法改悪阻止アピール事務局より以下の、転送が届けられました。

●「アクション111」
日時:04年1月11日、午後00:30〜02:00
場所:日比谷公会堂 
e-mail:iii@aqua.ocn.ne.jp

●「WORLD PEACE NOW 1.25 もう戦争はいらない」
日時:04年1月25日(日) 開場12:30
場所:日比谷公園野外大音楽堂
http://www.worldpeacenow.jp/


 私としては、1月15か18日と言われている、イラク自衛隊派兵。やはり小泉はこのままで行けば、絶対に決行するでしょうね。何だかんだと言っていても、何か自覚的に行動をしたことのない負け組みの日本としては、大きく諦めムードの気持悪さ漂うのが体制となってきている情勢。もう少し、自覚的な人生送りたいと、日々思っています。

■ここでやはり地道にまわりに話し込み、この2つの集会へ日本中から人々が集まり、戦争は駄目という強烈なビジュアル的なものが今必要だと思います。

■自分では企画はできないが、そんなものがあれば少々内容にウン? というものであっても文句言わずに、意思表明としての人数として参加はやるべきだと考えます。

■今私は、少しづつまわりの人に、そんな企画があれば行く? と話しています。

日本の今のこの時代に生きている人は皆、この瞬間の歴史に責任持つべき。戦争はやりたいのかやりたくないのか。

これだけは中間はないと思います。

'03.12.30(火)

 

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表現する徹底非暴力の反戦通信29

 2004年が明けました。

 全くもって昨年の暮れは、テレビを見る気がしなく、消したままでの静かな年越しでした。世の中、無意識のままイラク派兵に流されていく、ばか騒ぎがたまりません。

 昨日の夜のBS1での-世界の潮流-とかいうニュース解説のような番組で、非常に冷静な番組が組まれていて、ホッとした次第です。一人の司会役と二人の解説者であったのだが、その一人は結構感情をあらわに語気も強く、

-イラク復興のシナリオは、米国の石油利権であることは事実であるし、その利権に乗り遅れまいとの日本の米国追随は、冷静さを欠いていて非常に危ない判断をしている。アラブの文化を理解しないやり方でのイラク復興支援は、そんなに上手くは行かない。-

 具体的にイラクの、油田への歳入国の旗を、地図上に立て示しながらのこの話しには頭がクラクラした。事態はそこまで来ている。油田に群がり、分け前を貰う順番を、何もしないで貰う訳にはいかない。だから、自衛隊を行かすのだ。と確かに、小泉は会見で本音をチラつかせ、言っていた。そのイラクでの油田から抽出された第1号は、もう既に日本へ運ばれてきたらしい。何たらの成分の少ない純度の高い良質な石油、だということ。

 今の私達の生活を、これまでどうりに維持するのは、罪悪なことなのである。何もしない内に、勝手に決められ勝手に使わされ、そして同罪として何も言えなくなるのか。

取りあえず私は、
1月11日 日比谷公会堂での「アクション111」のデモだけでも参加に行くことにしました。

この日、駄目な人は、まだまだある。

 

■WORLD PEACE NOW 1.25 もう戦争はいらない
 私たちは自衛隊のイラク派兵中止を求めます
 http://www.worldpeacenow.jp/

 

■2004年1月25日(日) 開場12:30
■日比谷公園野外大音楽堂
〈交通〉営団地下鉄丸ノ内線・千代田線「霞ヶ関」下車1分、営団地下鉄日比谷線「日比谷」下車2分/JR「有楽町」下車8分

【プレコンサート】13:00 "輪"、他

【ラリー】開会13:30 ピースフルトゥモロウズ(予定)/上原公子(国立市長)/自衛官と市民をつなぐ人権ホットラインほっかいどう・坪井主税(札幌学院大学教授)/他(※手話通訳あり)

【パレード】14:30〜 《コース》日比谷公園→数寄屋橋→東京駅→常盤橋公園(解散)
◎プラカード・メッセージボードなどアピールグッズを持ってパレードにご参加ください。

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とにかく! 誰一人として、このことから逃れられる人はいない。反対は目に見える形にかえて、世の人達へ、訴えなければ。
東京での全国行動へ、皆誰一人として座っている人のないように、出かけ歩こう!!

'02.1.2(金)

 

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表現する徹底非暴力の反戦通信30

 1月11日東京「アクション111」日比谷公会堂へと、行ってきました。日比谷公会堂は初めてです。東京へのデモは、優生保護法改悪阻止の厚生省全国行動で、31年前の「青い芝の会」で行き、座り込みもしましたが。

 何でも日比谷公会堂はその昔、60年代70年代の、日本の社会運動の盛んな時代のメッカの場所であったそうで、私は全共闘運動からは遅れた世代として今回そういうことも初耳でした。 集会としては、面白かったですしデモも中々盛況だったと思います。1700人参加の発表が主催者からありましたが、1800人ぐらい入っていたのではないか? と思うぐらい賑わっていました。

 しかし、舞台でライブペイティングをした黒田征太郎氏もしきりにいっていましたが、「いつ死んでも良いと思える年になってきて・ほんまえらいコッチャの世の中になって来ました。」といって言うてはりましたが。会場もそういう感じは溢れていて、若者はほとんどいず。高齢者ばかりで、戦争体験したおじいちゃんおばあちゃんあるいは60年安保闘争を戦ったであろう総評の組合運動華やかしころの世代、70・60世代が大半で、子や孫に戦争はさせないために何でも身を張ってしたい、という気持が本当にヒシヒシと伝わるものでした。

 本当に今に生きる、日本の若者や大学生は、何してるんでしょう?あっ、そうそう壇上に立ってリレースピーチにピンクギャル、と名乗るグループがいてへそだしピンクビキニ&ミニスカートで若い女の子と小さな女の子が出てきて、華やいでいました。街頭でのデモももっと、銀座のど真ん中を通りたかったです。

 でも、やはりこんな企画を主催はしてもらいたし、乗っかりでの参加はとにかく乗っからせて欲しいというところですので、参加したいと思いますし持続していって欲しいものです(ホンと、継続は力なりと言いますが、運動世代が声を発しなくなったということにも気が付けば、あっという間に世の中こんなにひどくなっていたということで、運動世代としての責任は感じますね。)。

 もっともっといろんな層が層として見えてくると面白いし、これは一重に参加する側の問題だと思いますので、今度は絶対に皆さんも気軽にしかし猶予はなく参加をして行かないと・・・と思います。

 とにかく又「アクション111」は、3月に10万人規模での集会とデモの、イベントを目論みたいとのことでした。

 そして緊急な今の課題は、私は思います。

 イラクへの自衛隊派兵は、すぐ明日か明後日にでも、強行されるということです。そうなると、もうどんな美名を並べても、外国の目から見れば、これは日本の軍隊でしかないです。イラクへの油田欲しさの侵略戦争に米国がやったでは済まない、利権あさりにいちはやく参入したい、という本音の部分で、侵略へのお溢れチョウダイです。

 国内にとってはこれは憲法違反で、日本の国民の主権がこんなにも脅かされてきているのは、第二次世界大戦の始まりと同じ経過を辿っています。

 だから自衛隊派兵後の、日本のいかなる都市へのテロも、国民はOK.したということになるのです。そして東京で一緒にデモした友人が恐いことを言っていました。イラクで自衛隊員が死んだら、この10倍ぐらいの体制擁護派のデモが、直ぐに起こるだろう、と。

 やはりここまで来ると、今の日本に住む私達にとって、戦争、したいか・したくないか、の二つに一つの意思表示しかないのです。中間や無関係でいられる人はいないのです。

 戦争に反対している人に限って、声をあげないのが問題だと思います。最初から一抜けた、と個人主義でいながら他力本願の精神はやはり、どこかで大きく個人の力を小さく見積もっている、という無関心層ということですか? だから、自分は行かずに人に行かせて、日本男児の誇りとか何とかで、駆立てる戦争賛成の人達の方が、直ぐに声をあげるし、しかも大きいし、威勢が良く聞こえるので人も多く集めることができる。そしてマスコミが取り上げる。

 しかしまだ戦争になったわけではないので、まだ今なら間に合う、と言う現実があると思います。こちらの方が優勢なのです。最悪の想定の逆を、こちらは先手必勝で行き廻りの人とを巻き込んで、きっと考えたくない人達も意見を持てば、戦争は嫌でしょうから。

 3月の全国統一行動へは、皆こぞって東京へ出かけ、デモに参加しないといけません。何をおいても、今何をおいても、戦争はしないしさせないし憲法九条は絶対に大切、という気持を表明しないと。

'04.1.14(水)

 

以下に、「アクション111」の概要と連絡先を載せておきます。

呼び掛け人:飯島信〈平和を実現するキリスト者ネット)/佐高信〈評論家)/上原公子〈東京都国立市長)/逢坂誠二〈北海道ニセコ町長)/高田健〈「許すな!憲法改悪・市民連絡会」事務局次長)/黒田征太郎(画家・イラストレーター)/加藤昌広(「第19回日韓学生会議」正代表)/今井一(ジャーナリスト)他123名〈1/4現在)
賛同人:吉永小百合〈女優)

アクション111
-戦争を回避せよ、イラク派兵は認めない-
http://f26.aaacafe.ne.jp/~actone/

 

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