表現する徹底非暴力の反戦通信41

 金曜日から隣の家は取り壊され、もう既に昨日の土曜日時点で、すっかりなくなってしまいました。解体の技術は凄いものだと、感心するやら、途端に家が外気に直接晒される寒さに、隣の兄弟分の家が細胞のようだったと感じられる今日この頃です。

 私は金曜から実は、この解体作業での振動や騒音に堪え兼ねて、毎日朝8時半〜夕方の5時半、家を脱出して難民生活を強いられています。市が直接の責任を取らないようにできていて、解体業者と隣の家主が解体責任だそうです。

 解体作業でのこちらへ及ぶ危険と騒音に関しては、非難するのは勝手ということで、業者は仕事なので絶対に安全な工事しかしない、としか言わない。そして立ち退かす道路建設は、外郭団体を既に作っていて直接には市が関わりないようにしている。しかし職員は市職員という複雑な管理の仕方。

 私も金曜日の午前中は家にいたのですが、とてもいられない状態で精神衛生上良くなく、逃げ出しました。

 今のイラク戦争やイスラエルによるパレスティナの人達、そして昨年人間の楯で死んだアメリカ人の彼女、を考えるとやはり身の危険に晒されることは凄い大変なことだと思います。ガザ地区やバレスティナのように突然戦車が家を壊しに来て、命からがら夜中に逃げ出す、と言った高校生の報告を読んでいたので、比べようも有りませんがこんなものでは済まないのだろう、と思いながらもやはりとても耐えられない恐怖です。それでも我が家はまだ全然ましですが、今の日本の情勢では立ち退きでなくても、戦争という事態でそんなに遠くはなく来るんだろうか? と変なリアリティーを感じてしまいました。

 よって阪神大地震の非難や難民のような、疑似体験中です。そして今日の日曜日は、工事はお休みなのでようやく家で少しは、報告書けている状態です。

04.3.7(日)

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表現する徹底非暴力の反戦通信42

 皆さん、無事に「表現する徹底非暴力の反戦4」終わることができました。
 12〜14日の3日間、
 12日-討論会 参加21名
 13日-洪栄雄(ホンヨンウン)ライブビデオ上映 参加13名で前夜祭的な緩やかなペースで始まりました。

 そして昨日、14日-本チャンとしてデモ→これは人数把握のやり直しをしています。

■ 良い会とできたと思います。
  参加の皆さま、本当にありがとうございました。

 3日間それぞれに、そしてデモも多くの人達が集ってくれその後のパフォーマンスも、非常に魂の入ったものが展開されました。そして非暴力という精神の大切さ、を新たにできたのです。

 それに引き換え国民全体としては、益々何も考えずに流されるのに、拍車がかかっているのも感じました。何ともやるせない、今の状況に、怒りさえ出て来ません。これぞ、しかし非暴力の精神としては、大切なのかもしれません。英国を非暴力で追い出したガンジーのように、劣悪で酷いからこそ諦めもできずに持たないところからの屈しなく闘う意思表示、の知恵なのでしょうね。

 そしてアメリカのイラク攻撃から、もう直ぐ一年が立とうとしています。アメリカのイラク居座り侵略・強奪に手を貸してしまった日本。こんなにも早く、巻き込まれていくとは。そして、これからの一年以内の変化の方が、国民がこのままではこんな甘いものでは済まないでしょうね。

■ そればかりか驚くことに、アメリカはつい先日の2月28・29日に、ハイチに対して新たな軍事行動を開始し、アリスティド大統領を拉致し中央アフリカ共和国のバンギへ勝手に連れてったいるらしいです。

 これは日本ではほとんど報道されていません。一年ほど前の東京での有事立法の集会で武者小路公秀さんが公演していたのを思い出します。

 キューバと中国を最終的にはアメリカは、倒す気である、と言う見解が国際政治学者の大方の見解であると言う内容です。

 ハイチはキューバの隣らしいです。その時の講演内容と、今回のハイチ侵略は関係ありそうです。アメリカ経済の一国独裁をこんな早く、着々と準備している。イラクでやったこと=フセインに難癖付ける為、ありもしない科学兵器をでっち上げ攻撃し、一国の長を勝手に逮捕してしまった、という事と、それと全く同じことをハイチに一年も経たない内に今行なっているのです。

 ハイチは北米の奴隷として連れてこられた黒人の国として、一番早くに独立を果たしたところだそうです。アリスティド大統領は、国民投票によって選ばれている大統領です。その大統領が断行したことに、ハイチ軍の解体、というのがありそれを断行した隙にクーデターが起こったと言う理由をつけ、それを鎮圧する、と言う名目でアメリカ軍を投入したそうです。

 ハイチ駐在のアメリカ大使が、大統領に「記者会見に行きましょう」と嘘を付き、そのまま車に乗せ飛行場まで連れて行き、飛行機に押し込んだそうです。そして20時間も飛行機に乗せられていたかと思うと、着いたところが地球を半分(以上か?)の地中央アフリカ共和国のバンギ、だっそうです。3月8日にアメリカからの派遣団が、ようやく面会を許され、アリスティド大統領本人から事情徴集し事態の一部が解ってきています。

 大統領は、「自分を国民は待っているのだから、今すぐにでも帰えりたい」と、答えているそうです。

 ハイチでは今、アメリカ軍が国に一つしかない国立医学大学を占拠し大学は機能していなく、国民も選んだ大統領を奪われ大変な混乱状態ということです。

 アメリカのブッシュ再選を睨んでの、アメリカ国民ごと落とし入れる恐ろしい策略を開始して、そんな折り日本はのこのことイラクで愛嬌を振りまきながら、それに乗り遅れまいともっと深みへの助走をしていくのです。

 

■ 後は何が何でも、3月20日、です■

  徹底非暴力で、諦められない、人間が人間として生きることへの少しでもより良い未来への前進を!!

絶対に、多くの人へ呼び掛けましょう。一緒に行きましょう。

‥…━★3・20 全世界一斉共同行動 日本は日比谷野外音楽堂★…━━★

●思想、信条、政治的立場などの違いを超えて大きく結集を

2004年3月20日(土) 日比谷公園野外音楽堂に集合、その後、銀座へパレード!

12:30 開場 
13:00 開会〜プレコンサート
13:30 スピーチ・演奏など

 順次 銀座方向へパレードが出発していきます。★★★

'04.3.15(月)

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表現する徹底非暴力の反戦通信43

[態変韓国公演決まる]

 3/31〜4/4、4泊4日の4年ぶりの、韓国を訪れてきた。
劇団態変の韓国ソウル公演の決定のため、ホール下見が目的であったので滞在はソウルのみ。ソウルは思いの外気候は大阪と同じぐらいで、結構雨にも合ながら、それでも私のポリシーである一般の交通機関を使って、その土地の人の顔や空気に触れないと海外へ出た意味がないを通し、毎日地下的で漢江(大きな川-ハンガン)を渡っての中心への通い。ソウルは10年ぶりぐらいの訪問となり、かなりハードなスケジュールではあったが、私なりに今の韓国を掴めた渡韓であった。

 大都市のソウルは物価も高く私が行った4年前の、釜山であったが、多分全般に上がってるだろうと思われ、ソウルでは日本の大阪の物価とほぼ同じと感じた。だから韓国での経済としての生活は厳しいと思う。ずっと同行してくれた韓国人のカン・ミョジンの弁、「若い人は職もなく、物価も高いし

、都会は生活するのは大変です」という言葉にはうなずける。

 しかし若者たちは、非常に明るい顔をしている。何か自信に満ちていて前向き、といった印象。何年か前の訪問した、同じく不景気で若者の就職がないといっていた、ドイツや英国の欧州の若者とは少し違った、無味乾燥なささくれさがないのが印象的。

 態変の公演する場所として今回私は、大学路(テハンノ)という40はあるという小演劇のためのホールの吹き溜まりのような一角にある「アルングジ」という劇団木花(モッカ)の持ちホールに決めた。ここはエレベータのない地下一階半ぐらいにあるキャパ150程の、日本でいえば昔のアングラ劇場と言った雰囲気のある場所である。

 そしてこのテハンノ(大学路)という一角自体が、先にも書いた40ものホールがひしめき会いながらもまだ足りないと言われている、という程学生や仕事帰りのサラリーマンなど一日の終わりに何か観て帰ろうかと、その数だけの建物に掛かっている垂れ幕を物色して観て帰る、といわれる。だからここの演劇は、日本の映画のように比較的安く気軽に立ち寄る大衆的な、幅広い層に答えるられ所として賑わっている。

 態変が経験し大いに鍛えられたた、英国のエジンバラフェスティバル・フリンジのような、千差万別のエネルギーと道場破り的な勝負が正念場である。そしてもう一つ特徴なのは、演劇する劇団や人がホールを自分の持ちたい形で持ち、その一角が、観る人もやる側も渾然一体となって、気負いなく活用しているといった雑草のような場である。

 態変の最初の韓国公演にはふさわしいエネルギーを、ここなら作り出せるそんな直感である。

●日程は/9月29〜10月3日 ●ソウル大学路 アルングジ劇場

 

[韓国特別報告]

 前置きが少し長くなるが、朝鮮半島は地理的な条件、東洋の極中国という大国の横に半島として存在している、という存在の仕方が運命を決めてきたと言われている。

 日本の侵略戦争の植民地支配から解放された、6年後ぐらいの直ぐに、第二次世界大戦戦後処理の余波でソ連とアメリカの世界政治の領土の綱引きで軍の衝突が世界中で展開されていた。ソ連とアメリカによって、戦争当事者国のドイツは西と東に分けられたのも、その影響。

 同じ戦争責任としての敗戦国の日本は、というと両国によるその分割をまぬがれたが、横の国の朝鮮半島が日本の身代わりに分断を受けることになるのが、二つの大国が引き起こしての朝鮮戦争である。

 朝鮮半島はこうして日本のツケを、日本からの植民地支配と自国民同士が戦争で殺し合い挙げ句の果てには分断国家となる、といった具合に二度、続けざまで巻き込まれる。

 南半分を実質今のイラクと同じく占領したのがアメリカ。そして一応国民による自治ということで国名を韓国とした。朝鮮戦争後の南北分断を理由に、長いアメリカからの傀儡政権であった。その形は後ろにはアメリカが控えていてその意のままになる、韓国軍を掌握しその軍部による政権であった。国民の選挙権も認められておらず、アメリカの傀儡軍事独裁政権、と 呼ばれていた。そのもとでは国民は酷い圧政が引かれ、言論・思想・行動の自由、個人の全てが北の脅威といわれる反共産党の為という名目で、監視され規制される異常な強権政治が行われていた。そういうふうにして韓国民は、日本の経済戦後復興やアメリカの大資本に、搾取されていく貧しい生活を強いられ過酷な時代を過ごす。

 その中で韓国民衆は、民主化闘争、という闘いを展開しアメリカの傀儡ではない自立・独立の国を求める機運が高まり、弾圧されながらも激しい闘争をくり広げる。

 そしてその運動の象徴的存在の金大中氏が、国民によって大統領として今の前に選ばれる。その次の大統領選挙にも、民主化闘争の中から生まれた世代として、引き継ぐ形で大統領に選ばれたのが今の廬武鉉(ノ・ムヒョン)大統領である。

 しかし過去の日本の侵略戦争は、過去から続いて現在も韓国に、アメリカの統治という権力と利権を一つにし、日本の旧軍隊の自民党のタカ派と韓国のアメリカの傀儡政権を維持させていた旧政権は、常に存在していて現在も尚韓国の政治にとって大きく影響を与え続けている、というのが現状である。

 現実には日本も韓国と同じことである。アメリカは飼い殺ししてでも、日本と韓国は奴隷あるいは家畜として、配下に置いておきたいのであろう。日本と韓国が仲良くなるよりもアメリカを仰いで、よりアメリカの気に入られるように双方で競い合いいがみ合ってくれた方が、安心で気持ち良いのである。

 そしてもの考えないで権力へ擦り寄ろうという者は、やはりどこの国にも沢山の数はいるものである。

○現在の機運について

 廬武鉉は、旧体制のハンナラ党との弾劾に合い、国民投票がこの15日に行われることになったことは日本のマスコミも伝えるところ。

 この投票は国会議委員をもう一度選び直すという、国民がどの党を支持するかの国会議委員選挙である。そして国民が大統領の政権への支持なら、大統領の党へ一票を入れ、その数が全く無いのであれば大統領は降り再び大統領選挙が行われ、大統領の選び直しになるが、大統領の党が圧勝すればその政策への指示は高まり大統領の仕事はやりやすくなる、という仕組みのものである。

 だからあの弾劾というのは、大統領への不信任案を野党(昔の与党の傀儡政権など)が提出したということ。議会で可決され、国民に審議を問う為に党への支持を、今度は国民は投票によって表明するというもの。だから大統領は辞めずに一旦、国会議委員が総辞職をして国民への審議を問う、という議会のあり方である。

 今回盧武鉉大統領は、昔の民主化闘争からできた党で当選時の所属の民主党からも弾劾を受け、方針の合わなさが露呈した為に自らの指示母体で作る「ひらかれたウリ党」という党を作りそこへの国会議委員拡大が最大の争点となるのである。

 

●(ここが本論)そこに何と!

 今回、韓国訪問で、びっくりな情報を知る。4年前に釜山に私を呼んで、2回の講演会を開いてくれた、「韓国女性障碍人会議」のチャン・ヒャンスク氏が、廬武鉉引きいる「ひらかれたウリ党」→ウリ党から第一指名を得て立候補ということなのである。彼女は私と同じポリオの重度の車いす身障者である。韓国での新聞記事を読んだところによると、ヒャンスク氏は幼い頃貧困に苦労し、食えずにひもじい生活も舐め義務教育も受けられなかったが独学で本を読みまくった、とのこと。4年前に会った時も、彼女の博識ぶりとには、凄い勉強量は想像できた。「韓国女性障碍人会議」も彼女が呼掛けて作ったもので、韓国中に会員を多く持つし既に国会議委員になっている会員の人もいた。

 毎日のようにテレビ・新聞に登場してウリ党の顔として、看板を張っているという。私たちは韓国で走り回っていたので、テレビを見る時間もなかったので、ヒャンスク氏のその勇ましい姿は見ることはできなかったが。本当にこの事態は、韓国の政治としての民衆の求めるイメージとしての人選に、障害者が躍り出たということであり、世界情勢から見てもとても画期的で革新的な出来事である。私はあの時から、我が友のヒャンスク氏なら、優秀な政治家になれると思っていた。

 そして歴史上で朝鮮半島は、四方からの侵略に耐えながら自国の国として何とか維持し、そして他国への侵略はこれまで一切したことの無いという、その地理的な立地条件での朝鮮半島として、苦汁を舐めてきた長い歴史の国だ。これはそれだけ他国から決定的な恨みを買うようなことはしていない、という今時で言えば、負け組の筆頭のようなものである。

 だからこそ韓国国民は、これまでの歴史に学んで、身を持って知っているのであろう。利権以外にアメリカが、よその国を守るようなことは絶対にない、ということを。最近のイラク情勢は、増々混迷の泥沼へ深めて行く様子である。アメリカからの、イラクへの韓国軍派遣への要請がより厳しくなってくるであろうことが、予想できる。ベトナム戦争に多くの軍隊を出させられた、苦い経験が蘇る難しい政治情勢である。

 そして今、30代半ばの世代が、この韓国の民主化闘争の主人公であったということ、その人たちが今回の廬武鉉政権も誕生させたといわれること、そして今度は党の第一位指名に障害者を当てたと言う快挙を成し遂げたのである。このことを考えるとき、まさに韓国の歴史に学ぶ中で産み出される、新しい世界観の政治を、期待する気持ちである。それは、<負け組を肯定するところからの発想としての、新たな勝ちの価値観>である。障害者の存在の絶対肯定、からくる非侵略の精神とやられてもやり返さない、非暴力の熱い心である。廬武鉉大統領とウリ党を産み出した民衆と言われる30世代、そして連綿とつながる朝鮮半島に流れた多くの犠牲の死者たちの刻んだ歴史の叡智として、チャン・ヒャンスク氏の政治への登場が輝かしく韓国歴史の礎となるように、陰ながら応援して行きたい気持ちである。

04.4..10(土)

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表現する徹底非暴力の反戦通信44

 やった〜! やりましたよ!! 邦人三名拘束の解放なりました。

 10時過ぎに報道ステーションを付けた途端、一瞬見過ごしていました「邦人3名解放」の小さな文字。もしかして? と確かめるように「これはホンマや」

 今夜、私のやっている身体芸術研究所が終わり、8時半過ぎにその研究生達と「邦人三名はどうなるんやろうね。生きて帰って来るやろう。」という会話を 交わしていて、ずっと祈る気持ちを研究所では話し合っていたのですが、丁度今日、その時間にアルジャジーラのテレビ放送で彼女彼等の映像が流れていたの です。

 本当に良かった、と夢のように、感謝です。とにかくどんなに小泉政権が酷くても、平和を願う民衆の心がそれを超え、イラクの反米の闘いの民衆と直接響 き合ったということですのもね。抵抗勢力は「日本政府は酷いが、日本の国民はデモではアラーの神への敬意も評してくれ、国民の気持ちも解ったので解放す る。」とNHKの同時通訳でちゃんと翻訳されていました。

 イラク人民は、日本人民の顔を確かな、一人一人の人間として親しみと愛情を持って、呼掛けてくれているのを感じ、言葉がありません。一番悲惨な状況か ら、こんな喜びを貰え、本当にありがとうというしか言い様がありません。

 日本の歴史上初の、国際的な連帯で民衆の動きと思いが、勝利したと言えると思います。

 とにかくこの大切な事実を、感謝して忘れないように、自信と信頼を強く持って今後に繋げていきたいと思います。

 そして同じ日に韓国の選挙、「ひらかれたウリ党」の圧勝の知らせも、大切な民衆の勝利。何か連動するものがあります。韓国の民主化闘争では「良心の政 治犯」と言う言葉が良く使われました。やはり良心に恥じる事のない、行動・発言・芸術あるのみです。皆さんと喜びを共に。

'04.15(木)

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表現する徹底非暴力の反戦通信45

 イラクのアメリカ侵略の様相は、もう人間の尋常さを欠いて、これでもこの世が地獄に見えずよそ事であれば、既に人類みんなで総狂い状態と言える。

 邦人拘束から解放までの一連の動き。そしてその後の声を大にする、バカ小泉発言の尻馬に乗った、迷惑論・自己責任論の論理も何もない低能さのみが露呈する国民の振りをした利権集団の動員。

 そうこうする内に知らない間に、国会は国民年金攻防へといつの間にかなっていて、福田が辞任となれば管が党首を降りて民主は小沢頼みと言うていたらくさ。私はもう、ここで言う言葉を持たない、と思っていた。

 拘束者解放で、日本の右よりは、反戦運動の方が自衛隊撤廃で勢いづくことを阻止したいであろうから、どんな手を使ってでも誹謗中傷してくるだろう、と解放される前から予測は出来ていたと思う。それに対して、迎え撃つのか、次の手の先手で行くのか、なのではないだろうか。

 バカにまとも意見しても駄目であろう。本当のバカならまだ救いようはあるが、バカを真似てわざとなりふり構わず幼児の集中要求のような理屈ではないだだっこをただふりまくだけしか無いと言う状況に対し、大きく活を入れ叱り飛ばすだけで効き目のある人が日本の良心の中にはいないと言うことである。それでも真剣に怒る側が必要で、それは数ではなく本当のことを怒る真剣さに掛かっている、のだと思います。

 初めから体制としての権力への力関係として、対抗しても何の意味も無く対抗ではなく勝ち負けの論理でもなく、"本当にそう思う"という"おかしい!"という気持ちなんではないでしょうか。それで言えば、小泉が引きたい国民感情として国民の大多数をそちらへ引っ張るには、今回の邦人拘束から解放と言う一連の事件ではそうはならないと言うことですよ。

 だって日本人一人一人へ届くよう、直接テレビを通してイラク側レジスタンスの声明文で何度も返され、そして助けてくれたイラクのおじさんからも手紙を託されているんですから。自衛隊だけではなく、もう日本人みんな一人一人が直接、イラクの解放側から話し掛けられしっかりアメリカの片棒担ぎは辞めて自衛隊の撤退を進めて行きなさい、と言われたのですから。このメッセージ性の方が強いと思います。それを何とか掻き消したいと言うのが、幼児の悪あがきですよね。

 それに連れても政党がろくでもなく、これでは国民感情としてどこへ持って行けば良いのか。良い所まで行っていても、これまで民主主義を国民手で獲得してこなかった、責任を取る、という現場から外されて来たところでの肝心な所で気を抜く、というサボリ癖が最後の詰めをやってこなかったという日本の民主主義の甘さがあるのではないでしょうか。

 最後の一滴の血を振り絞ってでも、何ものにも変え難く、許してはならないし、変えさせて行かないといけないし、守って行かないとならない、そのような後戻りなどない心の叫びなんではないでしょうか。

 私は今、昨日のイラクのレジスタンスから、アメリカ人の首を切られる所を、映像で世界に流れたと言う事を新聞で知り、平静を予想としていても内心ではそうではない、もう済まない人類の危機を感じています。

 アメリカがやった事そしてやっている事は、こんな事では済まされないんだ。という憎悪としての生き地獄を、アメリカとアメリカに加担する国々は、イラク人へ体験させ続けているという現実を知らされる気持ちです。それを私達は、ぬくぬくとした爆撃や攻撃の及ばなく何も知らない部屋で教えられようとしています。このリアリティーのギャップ。

 そんな事があって良いはずは無い。現実をそんな形で知らしめても、解ろうとしない人間は一杯いるし、面白おかしくネタにするどうしようもない、物に浸り切って実感を無くしている、消費文化の私達なんだから。

 しかし、その現実をあくまでも遠ざけようとしているのは、真の現実へのギャップを持ち続けている側とは、どうあがいても私達の方なのだと言う事だ。当初私は、新聞記事で読んだりした後に想像してみたとき、出て来たのが神戸で起こったショッキングな事件「サカキバラセイト」の淳君殺害事件を思い出し、どうして良いのか解らない混乱に陥った。これは日本の凶悪犯と同じ事なのか、ということである。確かに生きている人の首を刀で切り落とし、撮影画面の前に投げつる、と言う行為は想像しただけでも異様な光景でしかない。そんな事が冷静な人にできるのか、という想定しか日本社会の前提では成り立たないのである。

 しかし、それがテレビ画面や映像として観ているこちら側の平常とする日常そのものを問われる、その側はこちら側なのだと言う事に気付く。

 こちらの普通とする社会そのもの在り方を問題にされ、それへの痛烈な告発であり抗議として、見ている我々が問われている事を知らしめられているを感じるのである。

 これは影で秘密裏に行っているアメリカの今言われている拷問のやり方は、こんなものの比ではなくそれこそが犯罪なのだ、ということを伝えているように私は感じた。だから今回のは神戸の事件とは違うのだと、はっきり思う。多くの人民に思い馳せ社会の大きな権力に代わって向かう自分の命も掛けた行動と、それに向かう事も解らずただ圧しひしがれ、社会を相対化できず自分の位置を見誤り、ただ教えられて来た優越感と劣等感だけの価値観でその中でも優越感に浸れる所を選び、一時的なうっぷん晴らしを行う人殺しという犯罪、とは訳が違うと思った。

 これからすると小泉のわけの解らない答弁の方が、アメリカと同じ本当の事を隠している犯罪と言え、そこに浸り切っている多くの世界の民衆を

、そして国民を目を覚まさす為にはこれしかない、という苦渋の選択として誰もやりたくはないことを敢えて行使しているのだと私には見えた。

 日本が年金問題明け暮れ、党首の首菅替えや大臣の辞任といった、言わば誰の為の何の為の本当に必要な論議として、経済問題と言う大きく関わるであろう、今回のイラクへのアメリカ加担という日本の取るべき国としての指針として論議せずじまいでいるのではないか。

 この報復としてまたアメリカは、何かをやらかすのか解らない状況下に今あると言える。それとも、正当化するための放弁使いにどんな無理難題を日本や韓国に吹っかけ死なら道連れに、駆り出すのか。

 日本が先送りにすればするほど、その犯罪性は増す。

04.5.14(金)  

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