態変の転換点5

『ウリ・オモニ』=金滿里ソロ


金滿里が語る『ウリ・オモニ』

  ※「異風堂々 --金満里が語る劇団態変20年史--」IMAJU vol.30 2004年 より  〔元の全文は » こちら

-- 『ウリ・オモニ』という作品は、金さんのお母さん(金紅珠・朝鮮古典芸能の大家)と大野一雄さんに対するオマージュですね。

 大野一雄さんに『わたしのお母さん』という日本語のタイトルを韓国語にして使わせて下さいと頼みました。『わたしのお母さん』というタイトルを付けるって、ちょっと不届きな話でしょう(笑)。だけど大野さんの持つ身体性というのを、自分なりのやり方で表現できるのは、やっぱり私以外にいないという自負心もあった(笑)。
 海外公演とかで、私なりにいろいろ経験を積んできて、私の作品としてちゃんとしたソロ作品を作ろうと考えていたときに、私の母親が死んだんです。それまでは考えたこともなかったけど、母親の芸や、魂、精神性の伝承ということに対して答えをだすことが避けて通れなくなった。なにかを、受け継がなくてはいけない、形としては受け継がないけど、自分の中でちゃんと落とし前を付けることが必要だと思ったんです。大野さんの身体性と、ウチの母親を同時に背負ってしまうことになりましたね。
 『ウリ・オモニ』 はやっぱり転機です。自分の身体で、重度の私の身体できっちりと一時間ものの作品を作るということを大野先生に監修してもらって、きっちりとやるということで、全てを身体性に集中させることができた。言葉で伝えたいことがあっても、なおかつ身体の方がより語れるから、身体を選ぶという情況が 『ウリ・オモニ』からはっきりとでてきたのです。舞台の上での身体の表現の仕方を、自分にも劇団員にも示す時期だったので、これはすごい転機ですよ。


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