『色は臭へどIII』上演によせて
16年前の'83年、私が障害者の友人達に大騒ぎをおこし、1回こっきりのつもりで作ったのがこの作品『色は臭へど』で、私達にとっては、劇団の名前よりもなによりも劇団を名乗るとさえ考えずに、こんなんやったら絶対に面白いでという〈やりたいこと〉が先の、先ず作品ありきの立ち上げであった。
結果この上演は多くの観客の度肝を抜き違う世界観の提示として支持され、その後の劇団態変の展開を運命づけた作品である。
この作品は五体満足優生思想を撃つという、非常にシンプルでストレートな題材である。それは私達の障害者という特異な状況から来るように見えて、実はとても普遍的テーマとしてある。二面性に見えて実はその中に潜む純粋に濾過されたものは共通である、といういわば純化の方法がそこにはある。この二面性の純化というキーワードは私にとって、態変の表現を創るときの何を提示したいかの大きな価値となるものとしてこのときからあったのだ。
『色は臭へど』はいろんなバージョンで作ることができる作品である。旗揚げの翌年東京公演を行ったときに大幅に手を入れた『色は臭へどII』を上演し、大阪での再演も果たしている。しかしそれ以降は態変の旗揚げ作品として過去のものとなりつつあった。
それを今回は15年ぶりに、現在の態変としてやりたいことを『色は臭へどIII』として行うものである。
態変を理解していただくときに、是非観ていただきたい作品である。
そして今回、再びこの作品を上演できる〈場〉という機会を与えてくださった関野連の皆さん、特に特設テントを提供してくださった「浪花グランドロマン」には感謝に堪えない。
皆さんと共に『色は臭へどIII』をここに上演できることに多くの感謝を贈りたい。
1999.9.9 金満里
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