劇団態変「ルンタ 〜いい風よ吹け」

作品紹介

劇団態変 第61 回公演

『ルンタ(風の馬) 〜いい風よ吹け〜』

ルンタとは、チベット仏教で、風が多く吹く場所に、人の願いを込め奉納される五色の旗。
五色の意味は 青◎空  赤◎火  白◎雲  緑◎水  黄◎土

 「チベット死者の書」にインスパイアを受けた金滿里が、その生死観に触れ、死者との対話に人が生きる肯定感を求める圧倒的迫力を、態変の身体で表現しようとする作品です。
 ルンタに込められたものは、地球をアッ!という間にいい風で被ってしまうという、自然への畏敬の念、と同時に、宇宙へも届けよ、という幸せへの壮大な願いを込めた人類の祈りのようなものです。それを本作品で、人間本来の命の意味と格闘することは、死をも含んだ深い淵に降り立つ行為。
 その上で、互いに生かし合ういい方向へ、人はまだ向かえるのだ、ということ。例えそれが、宇宙の意志に反していたとしても、人は宇宙へ果敢に立ち向かってでも、全人類の幸せを願っていいのだ、という強いメッセージが込められています。
 この末期的な現代に生きる我々が、少しでも人類の未来を切り開きたい、とする劇団態変が31年目となる節目に、旗揚げ当時の息吹を感じさせながらも新感覚で宇宙までにも突きつける挑戦状として、ここにお届けする問題作です。

 また本作では、『ミズスマシ』(2013年2月上演)でピアノとシンセサイザーの即興演奏で劇団態変と共演し、互いに魂に寄り添う表現を深化させたウォン・ウィンツァンと、『Over the Rainbow −虹の彼方に−』(2013年3月上演) で自ら率いるジャズユニットと共に、疾走するような混沌を生み出した山本公成が二人揃って音楽を担当。生演奏で舞台に参加します。さらに、チベット出身のタンカ(チベット仏画) 絵師、ウゲン・ナムゲンによる絵画が舞台上を彩るシーンも見どころの一つでした。

共演者紹介

ウォン・ウィンツァン (Wong Wing Tsan 黄 永燦)

ウォン・ウィンツァン  1949年神戸にて、香港系中国人の父と、日本人と中国人のハーフの母との間に生まれる。
 19歳よりプロのミュージシャンとして、ジャズ、前衛音楽、フュージョン、ソウルなどを演奏。73年には Brown Rice のメンバーとして全米ツアーを行う。75年に帰国後、スタジオミュージシャン、ツアーミュージシャンとして活動、日本のポップス界の人気歌手達をサポート。テレビ・ラジオコマーシャル音楽、映像音楽の作曲、編曲も数多く手がける。1987年、瞑想の体験を通して、自己の音楽の在り方を確信する。そして、90年よりピアノソロ活動を開始、現在の即興演奏を軸にした演奏スタイルを確立する。NHKスペシャル「家族の肖像」、BShiスペシャル「世界遺産 九寨溝」、NHK「にっぽん紀行」やEテレ「こころの時代」のテーマ曲でも知られている。
 ピアノソロコンサート、即興演奏では、音の力で観客の深い意識とつながり、解き放たれた静寂空間を創り出してゆく。超越意識で奏でる透明な音色に “瞑想のピアニスト” と呼ばれている。
 劇団態変の2013年2月公演「ミズスマシ」では、ピアノとシンセサイザーの即興演奏により、舞台上のパフォーマーとコラボレーションをおこなう。そのライブ録音のハイライトシーンをアルバム「mizusumashi」としてリリースしている。

山本公成

山本公成

 ソプラノサックス、フルート、磐笛、ネイティブアメリカンフルート、リトアニアンフレーテ、民俗笛、創作倍音笛の奏者にして作曲家。  1968 年のデビュー以来、即興音楽のパイオニア的存在として活躍。ジャズ・アーティストのみならず、雅楽、文楽、映像アーティスト、画家など、様々なジャンルのアーティストと共演している。多数の舞踏音楽をプロデュースしており、映画音楽としては井筒和幸監督「ガキ帝国」、園子温監督「部屋・The room」等を手掛ける。  演奏活動は世界各地におよび、ドイツIC社より「EASTWARD」等、4タイトル世界リリース。自ら主催するレーベル Pulsejet Label より「Earth Breeze」「月ゆめ」など、8 タイトルのCDを発表。10年以上活動する「風の楽団」や、ソロコンサート「Tears of the Forest」など積極的に演奏活動を行っている。  劇団態変の2013年3月公演「Over the Rainbow −虹の彼方にー」で自らが率いたジャズユニット(Bass= 中島直樹、Dr.= 信藤真実) で全編、生演奏でパフォーマーと共演した。

 ホームページ http://www.yamamoto-kosei.com/

ウゲン・ナムゲン(チベット仏画師)

ウォン・ウィンツァン
岐阜県・廣讃寺「阿弥陀極楽浄土図」
 1977年、チベットのロカ・チュスムに生まれる。11 歳より、ラサにてタンカ(チベット仏画)の第一人者であるテンバ・ラプテン師の元、内弟子としての厳しい修行を積む。
 1996年より1年間中国雲南省デチェン県ドュントュリン寺にて、壁画の制作と僧侶へのタンカの指導に携わる。
 1998年に独立し、ラサにてタンカの制作と弟子の育成に励み、チベットの様々な寺院等にタンカを納める。
 2005 年より大阪在住。現在、タンカの制作・指導活動を行っている。

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